子育てコラム(66)「ゆるやかに受けとめる」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2021年6月

b-Cafe店主カワムラです。

 かれこれ6年くらい、太極拳の教室に通っています。万年初心者ではあるのですが、楽しくて気持ちよくて、ぼくにとっては週に一度の癒しの時間になっています。

 ふだんは型を繰り返し練習して、こまやかな身体の使い方を学ぶのですが、ときどき、ペアになって、組手のようなこともします。

 その際、老先生がいつも、
「相手の力を感じたら、それにあらがおうとするのではなく、身体を緩めて、その力を無効化するんです。そのうえで、自分の足裏からくる力を手先から送り返せば、相手が崩れる」
というようなことをおっしゃいます。

 言葉を理解するのは簡単なのですが、実際にやるのはとても難しくて、いつも「こうういうことなのかなあ?」と首をかしげながら試行錯誤しています。
 それでも、気持ちを澄ませて微妙な力のやりとりを感じるのは楽しい作業です。

 先生は、
「あらがえば、ぶつかる。ぶつかれば、力くらべになってしまう」
ともおっしゃいます。

 あるとき、練習をしながら、これって、武術だけではなく、人とのコミュニケーションにも通じることだよなあ、と気づくことがありました。

 攻撃されたら、とっさに身がまえて反撃しようとするのは、人の本能的な行動なのかもしれませんが、それをすると戦いになってしまう。戦いになると、どちらか、あるいはどちらもが傷つくことになる。

 たとえば、家族とのコミュニケーションの場合、その目的は、何かを伝えたり理解し合うことで、決して「勝つ」ことではありません。

 ぼくらは、過酷な大自然の中でサバイバルしている野獣ではないんだから、勝たねばならないことなんて、めったにないんです。
 それなのに、無駄に戦って、傷つけ合ってしまう。

 無駄な戦いを引き起こさないためには、相手をゆるやかに受け止める、柔かなかまえが必要なのだと思います。

 子どもとの関わりだってそう。

 言葉を使い始めて間もないくせに、
「ママちらい!あっちいって!」
なんて憎まれ口を叩かれて、こちらに余裕がないタイミングだったりすると、カチンときて、
「あっそう、じゃあバイバイ!」
なんて応戦してしまう。

 でもこんな会話の目的は、子どもに勝つことではないんです。そりゃあ、大人の圧倒的な力を使えば、いくらでも勝つことはできるんだけど。

 ぼくらは大人に怯えて従順な子どもに育てたいわけではありません。それに、戦うやり方では、子どもが大きくなるにつれ、やがては力関係が逆転することになるでしょう。

 そうではなくて、冷静なコミュニケーションを通じて、お互い信頼し合い、助け合い、育ち合ってゆくような関係の方が、ずっといいと思うんです。

 だから、「ママちらい!」
という矢が飛んできたとき、身構えて剣を構えるのではなく、ふわっと力を抜いてかわしておいて、それから次の手を考えればいいと思うんです。そうすれば、なんでそんなふうに言うのかな、と考える気持ちのゆとりも出てくるように思います。

 って、言うのは簡単だけど、実際の場面でそのように振る舞うのはメチャムズだ、ということは、自分の経験に照らして、深く実感しております(笑)

 でもこれはトレーニングなんです。無駄に戦わない練習。

 太極拳では、股関節を緩める、ということを常に言われます。そうすることによって身体にしなやかなバネをつくって、相手の力を柔らかく受け止めるのです。

 「心の股関節」みたいなものもたぶんあって、そこを緩やかに保つための自分なりのコツも、探せば見つかるように思います。
 呼吸を深くしてみるだけでもずいぶん変わるはず。気に食わないところばかりガン見してしまうフォーカスをソフトにしてみるのもいいかも。
 ヨガだって、ストレッチだって有効だと思います。

 もちろん、太極拳もオススメです。