子育てコラム(67)「イヤイヤの理由」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2021年7月 

b-Cafe店主カワムラです。

 先日、おなじみのお客様から電話をいただき、テイクアウトのお弁当の注文を承りました。引き取りにいらっしゃったパパが、
「息子のイヤイヤが激しくて、くたびれて、店まで来る余力がないみたいで、、」
とおっしゃっていました。

 後日、店にいらしたママに、
「こないだは、店に来られないくらい大変だったんですね」
とお声がけしたら、
「いえいえ、もう毎日そんななんです。育休、こんなに取るんじゃなかったって思っちゃいます~」
とお答えいただきました。

 イヤイヤ期、たいへんですよねえ。
 
 他のお客様のお子さまでも「イヤっ!」を繰り返して、ママが手を焼いているのをよく見かけます。

 こちらから見たら、おお、やってるねえ、かわいいねえ、と、ママが悪戦苦闘しているも含めて、微笑ましい情景として目に写るのですが、ママ本人はそれどころじゃないですよねえ。

「食べようね」「イヤっ!」
「エプロンしようね」「イヤっ!」
「帰ろうね」「イヤっ!」

あげくの果てには
「おはよう」「イヤっ!」
みたいな。

 あれもこれも「イヤっ!」で、当人自身も、いったい何がイヤでどうしたいのか、わかっていないのではないか、という気もします。

 でも、みんながこの時期を通ってゆくということは、子どもの健やかな成長に必要なプロセスで、大事な意味があるのでしょう。

 この世に生まれて来た赤ちゃんは、しばらくはママやパパが与えてくれるものを受け入れるので精一杯です。
 抱っこしてもらって、ミルクを飲んで、お風呂に入れてもらって、服を着せてもらって。

 でも、いつまでもただ受け身でいることはできません。
 生きてゆくうえでは、自分にとって必要なもの、そうでないもの、安全なもの、危険なもの、役に立つもの、無益なものなどを、能動的に選択してゆかねばなりません。

 一本道をただ進めばよかったのが、分かれ道に出会い、自分で判断してルートを選ぶようになる、と言えばわかりやすいかもしれません。

 そんな段階のスイッチが入るのが、1才半~2才の頃なのでしょう。
 あるとき、子どもの心の成長のプログラムに従って「NO!」という能力(?)が解放される。

 受け入れるだけではなく、拒むこともできる。
 これは子どもにとって、革命的なできごとです。

 ファンタジー的に例えると、冒険を始めてまだいくらも経たない勇者が、強力な魔法アイテムを手に入れたようなものではないでしょうか。

 戦いで力を発揮するのですが、若い勇者にはまだその威力を制御することができず、ときには暴走して仲間や自分自身にもダメージを与えてしまう。魔力に支配されそうになりながらも、経験を経て、やがてそれを使いこなすすべを身につけてゆく。

 「イヤイヤ」って、そんなふうに、生きて行くために必要な「NO!」を使いこなす練習をしている時期なのではないでしょうか。

 「成長するために、がんばっているのね」と見守ってあげられれば、と思います。

 とはいえ、何から何まで「イヤっ!」な子と実際付き合うのはたいへん。
 とても穏やかそうなママが
「私ってこんなに怒りっぽかったんだ、って思い知らされました」
とおっしゃっていたこともありました。

 ではそんな子たちにどう対応すればよいのでしょう。

 ぼく自身がうまくやれたわけでもないので、エラそうなことは言えないのですが、今は、イヤイヤ期の子たちとの暮らしって「怒ったら負けの知恵比べゲーム」で、必要なのは「情熱と忍耐」ではなく、「あきらめと工夫」かな、と思っています。

 こちらは大人なので、力づくで従わせるのは簡単なのですが、良いやり方ではないと思います。疲れるし、力で押さえつけられた子は、やがて同じように力を使うやり方を覚えてしまいますからね。

 といっても、どうしても時間がない、とか危ない、という時は、ギャン泣きするのを抱えて、人さらいのようにその場を去るのもありだと思います。

 「がまん」もお勧めしません。
 「がまん」も疲れるし、溜め込むといつか爆発しますからね。

 「こうしたい」「ちゃんとさせなきゃ」という思いがあるとつい熱くなってしまうので、よほど外せないこと以外は「まいっか」ってあきらめちゃう。

 「どうすれば言うことをきかせられるか」なんて考えずに、冷静に子どもを観察して
「お、こう来たか。さてどうしましょうか」と考える。
(それができたら苦労しませんよう、って言われそうだけど)

 「いや~、いや~」と暴れるのを、ニコニコしながら動画に撮っておくのも楽しいかも。

  けっきょくは、目先のひとつひとつのことをきちんとこなすよりも、お互い機嫌よく、楽しく暮らせる方がずっと大事ですからね。

 暑い季節です。
 どうぞ、なるべくクールにお過ごしください。

 お店に来ていただければ、いつでもお話お伺いいたします。