大学時代の友人に紹介されて、「まんが少年、空を飛ぶ」という本を読みました。
第二次世界大戦終盤の頃、今で言う高校を卒業した年代の青年が、海軍の航空隊の訓練学校、いわゆる「予科練」に入学し、その後海軍に入隊、特攻で亡くなるまでの間に、家族に送った書簡を集めたものです。
絵を描くのが大好きで、家族思いの気の良い青年が、多い時は週に何度も、両親や祖母、きょうだい宛てに手紙を書いています。他に慰みのない訓練生活の中で、今のSNSのような感覚で、数少ない娯楽の一つとして、書簡のやりとりをしていたのではないかと思います。
検閲(内容チェック)を受ける、予科練内から出したものと、外出先から出したものとでは、書ける内容が変わっているのがわかります。
予科練内からのだと「小遣いは足りている」書かれているのに、外から出したものには「小遣い送れ」と書かれていたり。
彼は、休暇や荷物の受け取りのために、予科練の外に下宿を借りていました。
父親が医者だったこともあり、裕福だったのかもしれません。
その下宿先を差し入れの品や手紙の受け取り先にしていたようです。
海軍に入隊し、飛行中に実家の上空を飛んで、食い入るように、もう帰れないかも知れないわが家屋根を見つめたことが書かれていたり、彼の死後、遺品として届けられた預金通帳に、「私は特攻で行きます」という遺書が残されていたり、やり切れないものがありました。
このに中出てくる予科練があったのが、今は津市に編入されている旧香良洲町です。
予科練は広大な敷地だったようですが、今はその一部が歴史資料館となっています。
休暇の日には津に繰り出して遊んでいたようです。23号線沿いに歩いて、当時の歓楽街であった、津観音界隈で過ごしていたのではないかと思います。
この本を紹介してくれた友人は、長年高校の教師をしているのですが、教え子を戦場に送るようなことはしたくない、と言っています。
もちろん、ぼくもそう思います。
わが子をむざむざ死なせたくなんかない。そのために、戦争の残酷さ、不条理を知るために、「戦争を知らないこどもたち」であるぼくらも、敢えて戦争のリアルに触れることが大切なのだと思います。