☆店主カワムラの子育てコラム☆
毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。
他の「子育てコラム」はこちらから
なお、ポイント会員登録により、
最新コラムを掲載したメールマガジンを配信させていただきます。
モバイルポイント会員「b-Happyフレンズ」大募集中!
2018年9月
b-Cafe店主カワムラです。
エライ目に遭いました。
3連休のまん中の日曜日、
下の子4年生と二人で山登りに行ってきました。
松阪の堀坂山(ほっさかさん)という低山で、
ふもとにある森林公園に車を置いて、
お気楽に山頂を目指したのですが・・・。
予定より時間が掛かってお昼過ぎに山頂に到着、
ストーブでお湯を沸かして
ラーメンやおにぎりを食べて一休みした後、
帰途に就きました。
急に霧が出て、
「こんなのはじめてやろ?」なんて
子どもに話しながら下っていたのですが、
どうも登りと道が違う気がする。
けれど、ルートを示す赤いマーカーテープを
巻かれた樹が先に続いているので、
それを辿りながら進んでゆきました。
やがて道らしいものが確認出来なくなり、ただの急斜面に。
ときどき足を滑らせつつも
樹にしがみつきながら下ってゆきました。
下った先は谷川になっていて、
岩場を伝って川を右に左に渡りながら、
マーカーのある樹に導かれて進んでゆきます。
先を急ぎたいのだけれど、
少し遅れてついて来る息子を不安にさせないよう、
離れ過ぎず、また落差の大きい箇所では手を貸しながら。
最初は汚れるのを気にしていたのだけど、
だんだん余裕がなくなって、
やがて服は泥まみれ、
幾度となく水にはまって靴もびしょ濡れ。
現在地を確認しようと思ってもスマホは圏外。
少し遅くなるかも、という連絡すらできない。
「もしかして、おれたち、遭難しつつあるの?」
「連休暗転、無謀登山の父子遭難」
なんて見出しが浮かんだり、
明日店を休むための段取りを考え始めたり。
けれど時計を見ると午後3:00過ぎ、
暗くなるにはまだ時間がある、
進んでゆこうと思い直して、
さらにマーカーを辿ってゆくと、
そこから15分ほど進んだところで、林道に出ました。
ほっとひと息ついてスマホを見たら、
ようやく受信圏内に。
早速マップで現在地を調べると、
車を置いた森林公園ははるか彼方、
どうやら登ったルートとは反対側に下りてしまったみたい。
ここから山すそをぐるっと10キロちょっと歩かなければ、
駐車場にたどり着けない。
やれやれ、歩いたら3時間近く掛かりそうだけど、
仕方ない、ととぼとぼと歩いていると、後ろから車の音が。
ヘルプきた〜、とばかりに手を上げて軽トラを止め、
乗っていたおじいさんに訳を話すと、
「ときどきおるんさな。もっぺん登って向こうに下りたら?」
なんて軽く言う。
「荷台にでも、ちょっと乗せてくれない?」と頼んでも、「仕事があるでな」と、ブイーンと行ってしまったのでした。
さらに歩くと民家もちらほら見えて来て、
その中の一軒の玄関先から、
年配の男性が声を掛けてきました。
息子がくたびれてしゃがみ込んでいるのを
気に掛けてくれたようです。
かれこれこういうことで、と話をすると、
ちょうど一仕事終わったところだからと、
ためらいなく車を出してくれて、
森林公園まで送り届けてくれたのでした。
「お孫さんにお菓子でも」と、
お礼を渡そうとしても、
「そんなええの、そんなつもりでやっとらへんし。ほなな」と、
帰ってゆかれました。神!
何とか自分たちの車に帰り着き、
家に向かって走りながら、
息子に「サバイバルやったなあ」と話すと、
「ほんまやなあ」って。
帰宅して、二人で早めの風呂に入りながら、
ああ、帰ってこられてよかった、
日常ってなんてありがたいんだろう、
という思いにしみじみ浸ったのでした。
*
ほんとは、最初に違和感を感じたときに
山頂まで引き返すべきだったんです。
なのに、また登るなんて大変だ、
ここまで来たんだから前に進んだ方がいい、
と思って、どんどん道なき道に踏み込んで行ったのでした。
結果的には大事に至らなかったものの、
「引き返す勇気」を持てなかったことで、
泥沼にはまってしまうということを、
ものすごくリアルな出来事として経験して、
思い返すたびにゾッとします。
人は生き方をもっと良い方に変えようと思えば
いつだって変えられる。
けれど、新しい生き方を選ぶと、
未知の状況に立ち向かわなければならないし、リスクもある。
それなら、多少不便を感じても、
慣れ親しんだ今の生き方を続けよう、
と考えがちです。
ギャンブルで財産をすってしまっているのに、
いつか勝って取り戻せるはずと、
さらにお金をつぎ込むのにも似ています。
「それではアカンねんぞー、
めくらめっぽうに進んで行くだけやなくて、
ときどき立ち止まって、
必要なら引き返す勇気も大事なんやでー」
と、神様(?)がメッセージをくれたような気がした一件でした。
・・・あんまり子育ての話じゃなかったですね。
でも、ぼくのハズカシイ失敗から
学んだヒントをおすそわけ、ということで。