子育てコラム(57)「はなれてゆく」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2020年9月

b-Cafe店主カワムラです。

 先日、友人に紹介されて「父よ母よ」という本を図書館で借りて来ました。

 1994年に刊行されて、当時ベストセラーになったようで、ぼくも書名には覚えがあるのですが、今になって初めて、ようやく手に取ったのでした。

 高校の国語教師が、授業での試みとして、生徒に、匿名で、家族に宛てた「一行詩」を書かせたものを集めた本です。

 表紙に「父よ、言いたいことがあったらはっきり言え。母よ、言いたいことをそのまま言うなよ」という言葉があしらわれています。

 内容もそんな調子で、ユーモアを織り交ぜながら、ときには鋭く、ときには愛情深く、親に直接言えない、高校生たちの本音が綴られています。

 「お父さん!言いたいことあんのやったら、お母さんに言わんと、直接、私に言えや。」とか「父よ母よ!僕をつくったのは失敗だ。僕に期待するな。かといって、この年になって、もう一人つくるなんて思うな」とか「お父さんお母さん!あなたたちの声を聞いていると、なんとなく安心します。」とか。

 長男が高校生になったタイミングで出会った本なので、息子の言葉を聞いているようで、読みながら、爆笑したり、ぐさっときたり、ホロリとしたり。

 かつてのベストセラーを、今ぼくが読んで感動したのは、思春期の頃の子どもと親の関係性とか距離感が、当時も今もさほど変わらないからではないかと思います。

 子どもの世界がぐんと広くなって、親の目や手が届かない領域も多くなり、一緒に過ごす時間が少なくなって、言葉を交わす機会も減ってゆく。

 そもそも大人、特に親の価値観に疑いを持つことを足場にして、自分なりの世界観を模索する年頃だから、すなおに本音を伝えてくれたりはしない。

 この本を読んで、ああぼくと長男は今この辺りにいるのだなあ、ということを改めて実感したのでした。

 子育てって、フルタイムべったり密着全介助のベイビーの頃から始まって、だんだんと距離が離れてゆくプロセスなのではないかと思います。 たぶん、思春期から青年期辺りが一番遠くにいる時期で、そこから近づいたりまた離れたりしながら、オトナの親子の適度な距離感を作ってゆくのではないかしら。

 なんだか寂しい気もするのですが、子どもを社会に送り出すのが親の役割なのだから、それが家族の姿の自然なうつろいなのだろうし、ぼくらもそうやって育ってきたのでしょう。

 今のわが子達との関係が寂しいと言うわけではないし、今の彼らとのコミュニケーションを楽しんではいるのですが、過ぎてしまってから振り返るとやはり、ベタベタくっついて来てくれたあの頃は良かったなあ、とも思います。

 風が秋に変わって、朝夕肌寒いような季節になるといっそう、そんなことを感じるわけです。

 なのでどうぞ、まだちいさいお子さんのママたちパパたち、悔いの残らぬよう思う存分ベッタベタしておいてください。そして、b-Cafeに連れて来て、テンチョーに抱っこさせてやってください(^^)