子育てコラム(58)「家族という旅」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2020年10月

 b-Cafe店主カワムラです。

 先日、小6の次男と、長めのサイクリングをしました。

 実家で自転車屋を営む兄に、次男のマウンテンバイクの修理を頼んでいて、それができたのを引き取りに行くついでに、実家から自宅まで、走って帰るというプランです。

 次男に提案してみたら、「行きたい!」と即答だったので、決行することにしました。
 
 電車にぼくのぶんの自転車を積み込んで実家を訪ね、泊めてもらった翌朝早くに出発し、そこから津まで約110キロを、夕方までかけてトコトコ走って帰ってきました。

 本格的な自転車乗りからすると100キロなんて大した距離ではないのですが、ぼくらヘナチョコ父子にとっては、結構なロングランです。 

 ぼくがペースメーカーになって、次男には後ろを走ってもらいました。
 右折、左折、減速、停止など、手信号を送りながら走るのが、「チーム」っぽくて、ちょっとうれしかったりします。

 登り坂が続くと、次男が遅れて距離が開きがちにになります。
 離れすぎていないか、転んだりしていないか、と後ろが気になるのですが、自転車に乗りながらふり返るのってわりと怖いんです。側道がほとんどなくて、自動車がすれすれを走ってゆくような田舎道だとなおさら。
 それでも、気になるので、タイミングを見計らってチラチラとふり返りながら走ります。

 いちいちふり返りながら走るのって首も疲れるし、面倒だなあ、今度までにバックミラーを取り付けないと、なんて考えながら走っていて、こういうのって、家族での暮らしに似ているなあと気付きました。

 一人で自分のペースで走る方がずっと楽だし、早く到着する。子どもが一緒だとだんぜん時間がかかるし、わずらわしさも増す。

 だけど、今回のサイクリングは、父子で実家から自宅まで走る、その時間を楽しむためのもので、早く帰り着くのが目的ではない。時間がかかっても、安全に、二人でゴールできればいいんです。

 家族での暮らしだって同じで、効率良く、手早く、どこかにたどり着くために暮らしているのではなく、子どもがいれば子どものペースに合わせて、ときには先を歩いて何度もふり返ったりしながら、家族みんなで歩いてゆく道のり自体が目的なんです。

 確かに、一人で気ままに生きてゆくより、ずっとスローダウンしてしまうかもしれない。けれど、そうやってゆっくり歩いてゆくことで初めて、目にすることのできる景色があります。クルマでかっとばすのでは、出会うこともできない、家族が、子どもが見せてくれる世界です。

 それを味わうために、ぼくらは家族で生きてゆくことを選んだのだと思います。

  一人で生きてゆく方が気楽だし無責任でいられるし、自分がやりたいように、効率良く暮らせる。
 だけど、それだけではさびしい、誰かと人生を共有したいと思って、結婚したり子どもをもうけたりしたのではないでしょうか。
 そもそも、ぼくらは、効率良く、より生産的に暮らすために、生まれてきて生きているのではないし。

  家族って、望めば必ず得られるものではないと思うんです。それが与えられているんだから、せっかくの、かけがえのない連れ合いたちとの暮らしを、ぞんぶんに楽しみましょう。

「ああ、わずらわしくも愛しき、ぐだぐだの旅の日々よ!」って。