☆店主カワムラの子育てコラム☆
毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。
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2022年12月
b-Cafe店主カワムラです。
こないだの土曜日は、お休みをいただいて、中2次男と和歌山の御坊市まで出かけてきました。10月に参加した地区予選で、三重県代表に選出された「小中学生ロボットコンテスト」の全国大会に出場するためです。
10月の予選通過の後も、定期テストの合間を縫って、ロボットの改良や、操作のトレーニングを続けてきました。
2分半のタイム内に、フィールドにばらまかれたペットボトルを回収して、壁に様々な高さで空けられた九つのホールに差し込む、というのが今回のミッションでした。
次男のマシンは、うまくいけば、一番上の高得点のホールに二本ずつ、さらに下の方のホールにもう一本くらいはいけるかも、というくらいの性能に仕上がっていました。
全国大会は、土曜日に、各地区から集まった代表を8つのリーグに分けて、総当たり戦を行い、各リーグの勝者が、ベスト8として、日曜日の決勝トーナメントに進む、という形式でした。
土曜日にリーグ戦の会場である小学校の体育館に着くと、たくさんの小中学生がそれぞれのロボットを携えて集まっていて、寒い日ではあったのですが、熱気が溢れていました。
会場では、全国大会に先立って、和歌山県の代表を決める地区予選が行われていました。観戦していると、まだ調整が十分でなく、ボトルを拾い上げるのもままならない、というマシンもちらほらあって、これならいけるかも!と思えてきました。
けれど、そんな中で、びっくりするような軽やかな動きで、次々にボトルを差し込んでゆくロボットがありました。圧倒的な強さで、もちろん県代表に選ばれていました。
和歌山県の地区予選が終わったところで、全国大会のリーグ戦の組み合わせの発表がありました。次男のリーグは3人で、2回ずつ対戦するのですが、その中に、さっき見たぶっ飛び強力なロボットが。
対戦表を見て、父子で「うげっ!」となったのですが、動揺を隠して(隠せていなかったと思いますが)「とにかくできることをやろう」、と次男に声をかけました。
対戦を待ちながらも、よりによってなんでやねん、せっかくここまで来たのに、という思いがよぎるのですが、何とか気を取り直して、ロボットの最終調整を続けました。
そして迎えた対戦は、初戦は勝利。2戦目の強力ロボとの対戦は、ほとんど歯が立たないままの完敗となり、その時点でベスト8進出への道は断たれました。
自分のロボットを回収して戻ってきた次男を「おつかれさん!」と迎えて、工具や資材を片付けて、残りの試合を見届けてから、宿に向かいました。
体育館がとても寒かったので、宿に着くなり父子で風呂に入ってから、食事に出かけました。ビールとお茶で「明日出られないのは残念だけど、できることはやったよな。がんばった|」と乾杯しました。
部屋に戻ると、もうすっかりくたびれて、早々に寝てしまったのですが、夜中に目が覚めて、改めて今日のことを振り返ると、悔しい気持ちがむらむらと湧いてきて、しばらく寝付くことができませんでした。
リーグ戦での組み合わせによっては、決勝に進めたかもしれないのに、なんでやねん。なんでやねんって言っても実際そうだったんだから仕方がないやん。でもなんでやねん。と同じところをぐるぐるぐるぐる。
それでもいつか眠りに落ちたようで、朝を迎え、決勝戦の会場に足を運びました。
会場には特設ステージが組まれ、昨日の薄暗い体育館とは打って変わって、明るい照明で照らされています。
油断すると、次男をあそこに立たせてあげたかったなあ、という思いが頭をもたげるのですが、試合が始まると、そこに引き込まれてゆきました。
接戦あり、大差ありでトーナメントが進み、決勝戦は、対戦するロボットが、ほぼ同じタイミングでポイントを稼いでゆくというスリリングな勝負でした。
規定時間内には勝負がつかず、1分間の延長戦の中で、一方が、大会で初めて、全てのホールにボトルを収めるという「コンプリート」を達成し、栄冠を手にしました。
優勝したのは、リーグ戦で次男を負かした強力ロボでした。
戦いぶりを見ていて、そりゃ敵わないよなあ、と納得できて、父子で惜しみなく拍手を贈りました。
ぼくらもできる限りのことはしたつもりだけれど、それ以上の工夫と努力を重ねて結果を出した人がいる、ということなのでしょう。
当たり前のことだけれど、優勝した一人以外はみんな同じ悔しい思いを味わっているんですよね。そして、優勝しなければ意味がない、ということは決してない。
大事なことは、そこから何を学ぶか、ということなのだと思います。
次男はここしばらくの日々の中で、プロジェクトを進めるということ、モノを作るということを学び、結果が出た嬉しさ、逆の場合の悔しさを味わってくれたと思っています。そのプロセスを誇りに思っていいと思います。
ぼくとしても、協力者として、一緒にロボット作りに取り組めたのは、かけがえのない楽しい日々でした。
決勝戦を見終えて、なんだかすっきりした気分で会場を後にしました。
昼食を取って車に乗り込んでから、次男に「和歌山に連れてきてくれてありがとね」と感謝を伝えて、帰途に着いたのでした。