子育てコラム(43)「どうなるかなんてわかんない」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2019年4月

b-Cafe店主カワムラです。

 大阪の実家の父が、使わなくなったマウンテンバイクを、小4の次男に譲ってくれることになりました。

両親と同居していて、スポーツサイクル店を営んでいる兄が整備をしてくれて、ついでに実家から津まで、自転車で行ってみる?と提案してくれました。
兄と甥っ子が伴走してくれるというので、春休みに次男を実家に送り込みました。

 大阪から津まで、163号線をずうっと東に走って約120キロ。
自転車に乗るのが大好きな次男だけれど、これまでせいぜい家とb-Cafeの7キロほどを往復するくらい。だいぶ無茶なチャレンジだけれど、義姉が車でついてきてサポートしてくれるということだったので、来れるところまで来て、リタイアしたら車に乗っけてもらえばいいや、くらいに思っていました。

 当日は早朝に大阪を出発して、まずは大阪から奈良へ向かう生駒の山の峠越え。ここでくじけちゃうかもなあ、と思っていたら、難なくクリアして走っているというリポートが入りました。

 その後も休憩ごとに連絡がくるのを、店のオーダーをこなしながらチェックしていたら、リタイヤする気配もなく、着々と津に向かってきます。 やがては伊賀の峠を越え、トンネルを抜けて、午後3:00頃には津に入り、夕方には無事完走して、b-Cafeにたどり着いたのでした。

 ぼくも含め周りの大人たちはだいたい、完走は難しいだろうなあと思っていたので、びっくり。到着したときの、りりしい表情が、親バカながらカッコよかったんです。

 子どもって、こうやって親の想像を越えてゆくものなのだな、と実感しました。

 *

 「ありのままに」「個性を大切に」「みんなちがってみんないい」などという視点で子どもと接するのは大事なことだと思います。決して間違っていないし、ヨソの子に対しては素直にそう思えるんです。

 けれども、わが子となると、つい他の子と比較して「できないこと」が気になって、そこを何とかしようと焦ったり、理想どおりにしてくれないことにイライラしたり。

 一緒に暮らして毎日接しているわが子は、近くで見ているぶん、細かいところまで見えて、あれこれ気になってしまうの仕方のないことだとは思うんです。子どものしあわせを願い、そのためにより良くなっていって欲しいと思うのが親心です。

 でもね。そのために、親が勝手に熱くなりすぎて、「こんなこともできないと、将来苦労するわよ」とか「そんなことばっかりしてると、ロクなヤツならねえぞ」みたいなことを言って子どもを脅すのはよろしくないなあ、なあと思うんです。(とか言いながらこれまでさんざんやってきたんだけど。)

 親が子どもを見限ってしまってはいけない。
 次男がはるばる大阪から津まで走って来たみたいに、子どもは良くも悪くも親の期待を裏切って、自分の人生を切り開いてゆくものだと思うんです。

 どうなるかなんてわかんない。
 ぼくだって、10年ちょっと前までは、まさかこんなふうにカフェをやってるなんて、想像もしてなかったし。

  *

 そんなことを考えていた矢先に、
たまたま、スティーブン・ホーキングの伝記映画を観たんです。
身体がどんどん麻痺してゆく難病に冒されながらも宇宙理論を飛躍的に前進させた物理学者です。

 映画の終盤で、車椅子の彼が、かすかに動かせる指先のタイピングで、学生達に講演するシーンがありました。
 その中の「人間の挑戦に限界はない。どんなにひどい人生に思えても、生きていれば希望がある」という台詞に胸を打たれました。

 「希望」こそが、ぼくら親が子どもに与えなきゃならないものだと思うんです。

 良くも悪くも、どうなるかなんてわかんない。そんなこの世の荒波の中で、ぼくら大人だって、「なんとかなる」という希望にすがって生きてるんだから。