子育てコラム(85)「ちゃんと終わる」

2023年2月 
 
 高校卒業間際の長男は、大学受験の真っ最中。

 ひとまずは試験を終えて、はらはらしながら発表を待っているところです。

 いずれにせよ、県外の大学を目指している長男は、3月のうちに住まいを探して、我が家を巣立ってゆきます(たぶん)。

 ここしばらくは、長男の成長に対する感慨以上に、彼と生活を共にする日々が終わるのだなあ、という事を思って、しみじみしています。

 寂しいとか悲しいというよりも、「ほんとうに終わるのだなあ」という、驚きのような気持ちを強く感じています。

 彼が1才のお誕生日を迎えたときは、うれしい反面、「もうベイビーじゃなくなっちゃう!」という戸惑いも感じました。

 保育園デビュー、3才、5才、小学校入学。節目ごとに、ああどうしようと、どうしようもないのにオロオロしながら、彼の成長を追いかけてきた気がします。

 2004年夏、長男が生まれた日は、ぼくが「おとうさん」になった日です。

 親になることは、ぼくにとって憧れでした。だから、彼がぼくらの元にやってきてくれたことは、嬉しくて仕方がありませんでした。

 その日からぼくは、何よりも「おとうさん」であることを大切にしようと決めました。「おとうさん」としての日々をしっかり味わい「おとうさん」としてできることを目一杯やってゆこうと、気持ちの上では、決心しました。

 この決心を、ことあるごとに思い出して「今はおとうさんであることを優先しよう」と、暮らしの指針にしてきたつもりです。

けれど、それが実際どこまで行動として形にできたのか、と言われると、はなはだ怪しい、というのが実のところです。

 子どもとこんなことしたい、と思いながらも、できなかったことはたくさんあるし、自分が思い描いたような子に育っているかといえば、そんなことはない。

 でも、ともかくも、ナマイキ言って、親の背を追い越すところまでは無事育ったんだから、良しとしておきましょう。

 それに、子どもとの日々の中でぼくらが学ぶ最大のことは「ままならないもある」という事実に向き合えることだと思うんです。

 たいがいのことは、心底イヤになったら投げ出せるけれど、子育てを放棄することは簡単にはできなくて、とことん付き合うしかない。その中では、自分の視点や価値観を見直さざるを得ない。そういう経験を経て、ぼくらは、よりしなやかで深みのある生き方を学んでゆけるのだと思っています。

 少しだけ先をゆく者として、小さいお子さんたちとの暮らしの真っ只中にいるママたち、パパたちにお伝えしたいことが二つあります。

 まずはやっぱり、いまの日々をしっかり楽しんで、味わい尽くして、ということ。それから、その日々は、どんなに大変でも、あるいはどんなに楽しくても、やがては、思ったより早く過ぎてゆく、ということです。

 月日が流れるのは当たり前のことだけれど、ぼく自身は、こんな日々が果てしなく続くように感じて、押しつぶされそうな気持ちになったこともしばしばあるのですが、それでも、ワタワタしてる間に、ちゃんと過ぎてゆくんです。

 だいじょうぶ、ちゃんと終わる。うかうかしているとすぐに終わっちゃう。

 くたびれたときは、しっかり自分を甘やかして、息継ぎして、タカラモノの日々の真っ只中にいることを思い出しましょう。(b-Cafeで、おもてなしいたします)

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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