子育てコラム(86)「タカラモノの毎日」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2023年3月

 b-Cafe店主カワムラです。

 お子様がご卒業を迎えたママたち、パパたち、おめでとうございます。

 うちの長男は、ひと足早く、3月の1日に、高校を卒業しました。

 彼が高校に入学した日は、冷たい雨が降っていて、感染拡大防止のため窓を開け放った体育館で、震えながらパイプ椅子に座っていたのを覚えています。

 それとは打って変わって、卒業の日は、巣立ちの日にふさわしい、うららかな晴天に恵まれました。

 人数制限のため、ぼくは式に参列できなかったので、外から様子を見ていました。卒業生が体育館に入場する際、渡り廊下の両脇に立った先生たちが、生徒たちに「スーツが似合ってるよ」「かっこいです」なんて声をかけてくれているのを、微笑ましく眺めていました。

 式の後、クラブでの集まりを終えた長男に、一緒に写真を撮ろう、と声を掛けたら素直に応じてくれました。ちょうどその場に居合わせた、カメラ好きの先生が、長男とぼくら両親の写真を撮ってくれました。帰宅後に見てみると、とてもいい写真でした。

 彼が中学を卒業した日にも、こうやって写真を撮りたかったのですが、なかなか応じてくれず、なんとか説得して、自宅前で撮影したのですが、いかにも渋々の、仏頂面の写真が残っています。

 それに引き換え、高校卒業の日に撮った写真では、笑みを浮かべています。

 彼の中学校生活の終盤は、コロナが国内で拡大し始めた頃でした。学校が突然休校になり、そのまま迎えた卒業でした。先行きが見えない状況の中で人生のステージの転換を迎えた長男は、今思えば、不安や戸惑いでいっぱいだったのでしょう。

 高校の卒業式の日に撮った写真を見ながら、あれからの3年間をよく乗り越えてきたなあ、成長したんだなあ、としみじみ嬉しく思いました。

 この写真は、ぼくの宝物のひとつになりそうです。

 けれど「宝物」はこんなふうに、かたちとして残るものばかりではなく、彼と過ごした時間そのものが、かけがえのないものなのだと思います。

 もちろん、良いことばかりではなかったけれど、笑ったり怒ったり心配したりしながら味わってきた日々の中で、親としての経験を重ねてくることができたのだと思います。

 親子とはいえ、子どもの人生は子どものもの。最終的には、子どもが自分で決めて、自分で生き抜いてゆくしかない。

 だから、子育てってたぶん、子どもをどれだけ立派に育て上げるか、どんな成果を残すか、ではなく、子どもとの日々を、どれだけ深く味わうことができたか、が大切なのではないかと思います。

 昨日の日曜日、長男とぼくら両親の3人で、彼が春から暮らす住まいを探しに行きました。いくつかの物件を見せてもらった中で、長男が気に入った物件を仮押さえして帰ってきました。

「4年間、辛抱して暮らせたらええやん」くらいに思っていたのですが、決めたのは、Wi-Fi、ベッド、冷蔵庫、レンジ、エアコン付き、オートロック、宅配ボックス完備という、うらやましくなるくらいの贅沢さです。この頃の学生さんはいいなあ。

 帰宅後、突然スイッチが入って、ニトリやら無印やらAmazonやらのサイトを見ながら、彼の新生活に必要なグッズをリサーチしているところです。

 お金がどんどん出てゆくのに、こんなにわくわくして楽しいのはなんででしょう。

 長男がこの家で暮らすのはあと10日ほどです。あと何度、ごはんを作ってあげられるのかしら。