子育てコラム(91)「手間をかける」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2023年8月

 b-Cafe店主カワムラです。

 まだまだ暑い日が続きますが、もう少しすれば、猛暑も衰えて、お楽しみの「食欲の秋」の気配が感じられるようになるはずです。

 唐突ですが、ぼくは、お料理の秘訣は「手間をかけること」だと思っています。手間をかけるということは、時間をかける、ということでもあります。あまりに当たり前のことですが、大切なことです。

 「裏技」とか「時短」がもてはやされるご時世に、こんなことを言うと、頑固オヤジみたいですが、結局は、食材に応じて下ごしらえをして、火を入れて、調味して、という工程をていねいにたどる、というのが、最終的には正解なのではないか、と思っています。

 食材の様子を見て、出来上がりをイメージしながら、皮は剥くのか残すのか、繊維に沿って切るのか断つのか、細切り薄切り乱切り?大きさは?なんて考えながら包丁を入れます。

 火加減は強すぎず弱すぎず、余熱も考えて、野菜がくったりしすぎないように。

 味付けは、濃い味で素材を覆ってしまうのではなく、薄味で、添えるように。

 たくさんの食材がやがて一つのお皿にお料理としてまとまるプロセスって、楽しく、不思議なものだと今でも思います。

  *

 お料理のもう一つの秘訣は、「おいしく作ること」。

 「おいしくなあれ」と唱えながら、おいしさを込めるつもりで、ひとつひとつの手順を重ねてゆきます。

 そういう気持ちで、お料理がずいぶん変わってくるものだと思っています。

 そんなふうにやっていると、やはり手間はかかります。でもその手間や時間の分、気持ちも込めることができるように思います。

 そんなこと言ったって、小さな子どもがいて、やることがいっぱいの日々の中で、のんびり作ってなんかいられない、というのはもっともだと思います。

 けれど、食事に向き合う気持ちだけでも、お料理が変わってくるんじゃないかな、と思うんです。めんどくさいな、と思いながら作るよりも、おいしくなあれ、と思いながら作る方が、やっぱり食材が喜んでくれるはず。

 大げさな言い方ですが、食べることって、生きることそのものだと思うんです。当たり前ですが、食べなきゃ死んでしまうし、そもそも、食べるために生きているのだ、と言ってもいいと思います。

 だから、食べることとそれを支度することを含めて、「食事」というのは、この上なく尊く、神聖なものだと思っています。

 そんな「食事」に仕事として携われることに、ぼくは感謝しています。

  *

 料理と子育てって、似ていると思います。

 秘訣は、手間をかけること、気持ちを込めること。

 あわただしい毎日の中で、いつもゆったりと子どもに接する、というのは難しいのかもしれませんが、子どもと過ごせるときには、しっかりと子どもを向き合って、おへそを子どもの方に向けて、子どもを見て、声を聞いて、うなずいてあげる。

 そんなちょっとしたていねいさが、子どもとの時間を豊かにするものだと思います。

 食事も子育ても、生きることのど真ん中にある、この上なく尊いものです。暮らしの中での優先順位の大きな部分をそこに振り分けても、決して損はない、とぼくは思っています。

 それにしても、ああ、早くおいで、秋。