子育てコラム(94)「それでもオジサンは旅を語る」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2023年11月

 b-Cafe店主カワムラです。

 先日、久しぶり自転車で遠出してきました。兄が大阪でスポーツサイクルショップをやっていて、その店のイベントとして開催された「琵琶湖一周サイクリング」に、中3の次男と二人で参加してきたのでした。

 次男と参加するのは、彼が小5だったとき以来。コロナを挟んで4年ぶりの開催が決まったので、次男に相談したら、行く、と言うので、付き合うことにしました。彼がやめておくと言ったら、見送る気まんまんだったのですが。

 早朝、と言うか、真夜中に、バイクを積んだ車で出かけて、琵琶湖畔のスタート地点に向かいました。

 参加者は、子どもから大人まで総勢40名くらい。マップを見ながらミーティングをして、ゆるゆるとスタートしました。

 7:00頃にスタートして、ゴールしたのが18:00頃。ほぼ一日中、自転車で走っていた感じです。

 全長150キロちょっとのコースを6区に分けて、予め決めておいた、コンビニなどの休憩所で長めのブレイクを取り、全員が集まってから次の区間のコースの確認をして、再スタートする、というのを繰り返しました。

 特にグループ分けがあったわけではなく、最後尾を守る人だけ決めておいて、あとは各自のペースで、あまり長い行列にならないことに気をつけながら走りました。

 スタート時は、次男の後ろを走っていたのですが、ぜんぜん大丈夫そうだったので、というか、同じペースで走るのがしんどくなってきたので、途中からは、おのおので走ることにしました。

 グループが決まっているわけではないので、区間毎に一緒に走るメンバーが変わります。

 次男の前を走ったり、背中を見守ったり、集団の中に入れてもらったり、時には一人で走ったり。

 景色がどんどん変わってゆくことも相まって、こうやって走っているのは、なんだか人生みたいだなあ、と思ったのでした。

  *

 人生には、いくつものステージがあって、ステージごとに、自分を取り巻く環境や、一緒に過ごす人たちが変わってゆきます。

 仲間とワイワイやりながら、日々をお祭りのように過ごした頃、一人で自分を見つめた頃、大切な人と二人で過ごす時間が世界の中心のように思えていた頃、家族を持った頃、てんやわんやでなんとか日々を乗り越えてきた頃、いつの間にか子どもたちが手を離れて、自分の時間が戻ってきた頃・・・。

 ちょっと遠い目をして、しゃかしゃかとペダルを漕ぎながら、ふと、こんなふうに何でもかんでも人生に例えてしまうのって、すっかりオジサンになってしまった証拠だよなあ、と気づいて苦笑いしたり。

 「人生は旅だ」なんて、どうしようもなくオヤジくさいのですが、それなりに、そんなふうに振り返ることができるだけの、歴史を重ねて来られたことには、感謝してもいいんじゃないかな、と思います。

 よく死にもせずに、ここまで生き抜いてきたね、と褒めてあげてもいい。

 旅にでも、料理にでも、ワインにでも、やろうと思えば何だって人生に例えてしまえるのは、オジサンオバサンが修練の末に身につけた「能力」なのだと言ってもいいのかもしれない、なんて。

  *

  旅にはもちろん目的があるのですが、その目的を果たすためだけに出かけるではありません。

 通勤じゃないんだから、効率的にスマートに、プラン通りに行って帰ってくる、というのではつまらない。

 人生も通勤ではなくて、旅でいいのだと思います。

 何かになる、どこかに辿り着くためのものなのではなく、そこで出会う、それぞれの景色や時間をいつくしむものだと思います。

 思い描いた理想に届かなくても、むしろ思いがけないアクシデントや回り道を、旅の味わいを深くしてくれるスパイスくらいに受け止めて、笑い飛ばすことができるといいな、と思います。

 ・・・なんてふうにぐだぐだと思いにふけりながら、のんびり走っているうちに、次男はずっと先の方に行ってしまったのですが、我に返って、真面目に走っていたら、遠くに彼の背中が見えてきました。

 追いついて声を掛けようと思うのだけれど、次男も走っているので、なかなか差が縮まらない。当たり前だけど、みんなこうやって、それぞれのペースで走り続けているんですよねえ。

 夕方が近づいた頃、最後の休憩所のコンビニで、一足先に着いた次男にようやく追いついて、二人で温かいものを食べて、そこからはグループを決めて、仲間と一緒に、ゆっくりとゴールに向かったのでした。

 実は、いちばん気掛かりだったのは、その後、バイクを車に積んで、家に帰り着くまでのドライブなのでした。

 夕食を済ませて帰途につくと間もなく、次男は寝息を立て始めました。時間が決まっているわけでもないので、「家に帰るまでが遠足」と自分に言い聞かせながら、のんびりと、超安全運転で、何とか我が家に帰り着くことができました。

 なんとも幸せな一日でした。