☆店主カワムラの子育てコラム☆
毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。
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2023年12月
⭐︎だいぶ長くなってしまったので、お時間のあるときにゆっくり読んでください。
b-Cafe店主カワムラです。
中学3年生の次男は、1年生のときから「全日本小中学生ロボット選手権」というのに参加しています。先日、その決勝大会に参戦してきました。
毎年、夏にその年のテーマが発表されます。そのテーマに合わせて製作を始め、10月に、各地で催される地方大会に挑みます。地方大会で勝ち抜いた者が、12月の全国決勝大会に進むことができます。
1年生のときは、コロナ禍のさなかだったので、オンラインでの開催となりました。このときは、なんとかまともに動作するロボットに仕上げるので目一杯で、地方大会前日には真夜中まで作業をしていましたが、受賞には至りませんでした。
2年生のとき、テーマの発表を受けて、次男に意向を聞いてみました。
去年が大変だったし、親のサポートも割と手がかかるので、やめるというのであればそれでいいか、くらいに思っていたのですが、尋ねてみたら、迷わず、参加すると言いました。
1年生のときの反省を受けて、早めに制作に取り掛かり、地方大会には余裕を持って参加して、無事通過。そこから改良を加えて全国大会に挑んだのですが、予選であっさり敗退してしまい、悔しい気持ちで、決勝トーナメントを観戦したのでした。
そして3年生。次男に、受験も踏まえたうえでどうする?と尋ねたら、考えた末に、参加したい、と言うので、応援することにしました。
*
今年は「カツオの一本釣り」というテーマで、カツオに見立てたペットボトルを釣り上げて、所定のゴールに運ぶというものでした。
まずは、ミッションをクリアするための全体の機構をイメージして、それを実現するための、各部の仕組みを具体的に考えてゆきます。
いきなり本体を作ってしまうのではなく、単純にした試作品を作ってテストを繰り返し、最適な仕組みやサイズ、素材を決めたうえで、実際に使うものを組み立てます。
遠くにいる「カツオ」に届くよう、ロッドを展開する仕組み、先端の針の形状、釣った「カツオ」を引き上げるウインチ部、複雑な機構のため重くなった躯体を自在に走行させるための駆動部。それらを、規定サイズ内に納めねばなりません。
夏休み期間も使って、今週はこの課題をクリアしよう、というふうに段階を追って製作を進めました。
家にあるガラクタ、工事現場で働くショベルカーやクレーン、道に落ちているゴムの切れ端など、何を見ても「これ使えるかも」と思ってしまう、頭がロボになったような日々でした。
*
そして10月に迎えた三重県地区予選。
それなりに良い仕上がりだと思って参戦したものの、自宅と対戦会場の床面の違いのせいか、スムーズに走行できず苦戦を強いられたのですが、なんとか全国への出場権を得ることができました。
そこから改良の作業に取り掛かりました。問題点を洗い出した上、シャーシ部を設計し直して、各機構のレイアウトも大幅に変更して。間に学校の期末試験を挟みながら、組み換えと動作テストを重ねました。
ひと通りの課題がクリアできたら、トレーニングです。競技フィールドを自宅に再現して、時間内にミッションをクリアする練習をしながら、新たな課題が見つかれば、それを潰してゆきます。
自宅では十分なスペースが取れないので、大会が迫った頃には、休日や平日の夜に、b-Cafeのホールにフィールドを設置して、仕上げの練習をしました。
そして、全国決勝大会を迎えました。
全国大会は、毎年、和歌山高専が事務局となり、御坊市で開催されます。
初日に近隣の小学校の体育館で、予選リーグが行われ、各リーグを1位で勝ち抜いた者が、翌日、市の体育館に設置されたステージ上で行われる、決勝トーナメントに進めます。今年は、まずはこの決勝トーナメントに進む、というのが目標でした。
店をお休みさせていただいて、土曜の朝に家を出て、和歌山の会場に向かいました。
会場でエントリーを済ませると、ロボットに、サイズオーバーや規定違反がないかのチェックを受けたうえで、試合に臨みます。
去年はこの初日のリーグ戦で脱落してしまったのですが、今年は意図した通りの操作ができて、これまでの練習以上のパフォーマンスで、時間内に5尾の「カツオ」を釣り上げる、「コンプリート」を続けざまに達成することができました。
「コレ勝ったから、明日出れるんやな」と言う次男に、
「あれー、そうなるんかー」と間の抜けた返事をしたあと、
「おお、ほんまや!」と握手を交わしました。
会場を後にして、スーパー銭湯でゆったりと疲れを取り、ホテルにチェックインしてから、近くのラーメン屋さんに出かけ、コーラとビールで乾杯しました。
*
決勝トーナメントは、昨日の薄暗い体育館とは違って、眩しい照明に照らされたステージ上で行われます。大きなスクリーンに、選手やロボットが映し出されます。市長の開会宣言とともにファンファーレが響いて、戦いが始まりました。
決勝に進んだのは、リーグ戦を勝ち抜いた8名。ステージ上で3回勝利すれば優勝となります。
昨日好成績で勝ち抜いた次男は、リラックスした様子で、選手紹介の際には、「ジョジョ立ち」を決めて余裕を見せてくれました。
けれど、いよいよ始まった初戦では、ロボットが昨日ほどスムーズに動作せず、ぎりぎりの勝利でした。
メンテナンスをする時間が取れないまま、続けざまに次戦を迎え、「なんで動けへんねん!」という思いを抱えたまま、「マグロ」1尾の差で、対戦相手に退けられてしまいました。勝つときも、負けるときも、あっさり決まってしまう。
観客席から見ていると、選手控え席に戻った次男は、パイプ椅子の上しばらくぼんやりしたあと、メガネを外して顔を拭っていました。
あら、泣いてるなあ、とオロオロしながら、彼が戻ってきたらハグしてあげよう、と思っていたのに、ロボットを抱えて帰ってきた次男は、腰を下ろすなり、膝に顔をうずめて、肩を振るわせていました。
ここであれこれ慰めの言葉をかけるのは違うのかも、と思って、「だよなあ。悔しいよなあ」と、次男の背中をばしばし叩きながら、ぼくももらい泣きしてしまいました。もらい泣き、というより、ぼく自身が悔しくて仕方なかったのですが。
優勝者が決まったあと、昼食を取りに出かけました。
丸亀製麺で、言葉少なに温かいうどんを啜ったあとようやく、
「考えたら考えるほど、悔しいよなあ。でもなあ、ぼくらはそういう悔しさとかいろんな思いを抱えて生きていくしかないねん。今はしっかり悔しがったらいいと思うよ。」
と伝えました。
*
ほんとうにそうだと思うんです。
生きてゆく中で、彼はこれからもたくさんの、悔しさ、割り切れなさや不条理に出会うのでしょう。そしてそれらは、すっきりとしたオチをつけられないまま、抱えてゆくことしかできないものがほとんどだと思うんです。
そばにいる親はつい、子どもの痛みを取ってあげたいと思ってしまう。
自分と子どもと、どちらしか生きられないとしたら、ためらわずに自分の命を差し出すことはできる。けれど、子どもの人生を肩代わりすることはできないし、自分より長く生きてゆく子どもを、いつまでも見守ることもできない。
ぼくらにできることは、子どものそばにいて、彼らの痛みや悲しみ、喜びと響き合って、思いを分かち合うこと、そういうまなざしを、子どもたちがいつも感じられるようにすること、そして、孤独に陥りそうなときに、自分はひとりではないことを思い出して、助けを求めたり、あるいは手を差し伸べたりできる人として育てることなのではないか、と思います。
親は無力だけれど、そんな祈りにも似た気持ちを、いつも持っていたい。
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午後からは、入賞者の表彰式がありました。
競技では三位となった次男ですが、審査員による協議の結果、アイデアの独創性、実現度ともに最も優れたロボットに与えられる「アイデア大賞」をいただくことができました。
夏からこの日まで、次男と過ごした日々は、間違いなくぼくの宝物だし、彼にとってもそうであればいいな、と願っています。
長尺すぎて誰も観てくれない記録ムービーはこちら。
https://youtu.be/G3IdRDgk-Ek?si=LqON601ANz_EVLYL
前年の様子はこちら。