☆店主カワムラの子育てコラム☆
毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。
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2024年10月
b-Cafe店主カワムラです。
もう先月の話なのですが、「日本アドラー心理学会近畿地方会」というのに参加してきました。
「学会」と言っても専門家が集まる学術的なものではなく、むしろ普通のおばさんおじさんたちの集まりです。とはいえ、かなり正統派だとは思っています。
その中で聞いた話題のひとつに「子どもの執事になる」というのがありました。
子どもにあれやってこれやって、と頼まれたとき、まずは「かしこまりました」と従って動いてあげる、というものでした。
教育上の立場から、子どもの自立を考えて「自分のことは自分でしなさい」と応じるのも、ひとつの正解かもしれません。
けれど、たとえば何らかの問題を抱えていて、大人に不信感を持っている子どもだった場合、そんなふうに上から目線で言われても、何も響かないかもしれません。コイツも、ただの大人か、って。
でも「かしこまりました」って言われたら、びっくりするだろうし、コイツはちょっと違うのかも、と少しは構えを解いてくれるかも。さらにやり取りを重ねるうちに、コイツは使えるかも、と気持ちを開いてくれるかもしれません。
そうやって関係を作ることができたうえで、執事として、ご主人様が立派な人となれるよう、教育をするんです、というお話を聞いて、なるほどなあ、と感心したのでした。
もうひとつ、学童保育のお仕事をされている方の、子どもがツバを吐きかけてくるんだけど、どう対応するのがいいのだろう、という問いかけに対して、やはり子どもたちに関わる仕事に携わっている別の方が、「そういうときは、ハナクソをつけ返してやってます」とおっしゃっていて、これもびっくりしました。
ツバなんかかけられたら「何てことするの!あなたが同じことされたらどう思う?」とたしなめるのが、多く見られる対応だと思うのですが、それだと多分、そこから関係が深まることはないでしょう。
その子はおそらく、叱られることも織り込み済みで、ともかくも自分に気を引くためにそういうことをしているのかもしれません。
これらどちらの場合も、子どものふるまいに対して、一般的、お手本的な返しをするのではなく、その向こうにある、子どもとの関係、気持ちのつながりを築く、そのうえで、伝えたいことを伝えてゆく、という目標を見すえたうえで、敢えて変則的な対応をしているのだと思います。
子育ての中では、実は、このような「遠い目標」を見失わずにいることが、とても大切だと思うんです。
東京って(ほとんど行ったことがないけど)すぐに迷子になりそうだけど、東京タワーを目指していけば、いつかはそこに辿り着けるだろう、みたいな。
では、その「遠い目標」ってどんなものなんだろう?
そこはほぼ間違いなく「子どもの幸せ」だと思います。それを願わない親はめったにいないでしょう。
そうすると、次に考えるのは「幸せ」って何だろう、ということ。子どもにとって、そして私にとって「幸せ」って何だろう。
それは、私はどのように生きたいのだろう、どのような世界で生きたいのだろう、という問いにもつながります。
アドラー心理学の創始者、アルフレッド・アドラーは、第一次世界大戦への従軍の経験を通じて、戦争のない世界を強く願うようになりました。
その方法として、彼がたどり着いたのが、子どもへの教育でした。
彼が教育の中で最終的な目標としたのは、子どものたちの中に、社会と調和して暮らしてゆく気持ち、そしてその社会に貢献し、助け合って暮らしていこうとする態度をはぐくむことでした。
助け合う気持ちを受け止めてもらえれば、そこに自分の居場所が生まれます。そうやって自分の居場所を感じながら暮らしてゆけることこそが、人としての幸せなのだ、とアドラー心理学では考えています。
そのような人たちが手を取り合って、社会を築いてゆけば、争いより支え合うことを大切にする世界が実現するだろう、と考えたのでした。
これは、多くの人々が、ごく普通に願うことなのではないでしょうか。
もちろん、今の世の中の現状を見ればわかるように「世界平和」なんて遠い遠い夢です。
けれど、遠い夢であるからこそ、はるかな目標として、見失わずに目指し続けることができるのだ、とも言えます。
遠い目標を目指しながら、まずは家庭の中から、最初は親子の関わりの中から、できることを積み重ねてゆけばいいと思うんです。
そんなふうに考えると、子育てって、壮大でしょう?
そんな壮大な子育ての中で、ぼくらは何をすればいいのだろう?ということについては、また改めてお伝えしたいと思います。