子育てコラム(113)「殺さない」

☆店主カワムラの子育てコラム☆

毎月発行しているメールマガジに連載している、
店主カワムラにによる子育てコラムのバックナンバーを紹介します。
子育ての中で、父として感じたこと、
学んだことを織り交ぜて書き綴っています。
上から目線でアドバイスと言うよりむしろ、
わが子と向き合いながら、迷ったりうろたえたりしてることを
正直に書いているつもりです。
共感したり、参考にしていただければ、さいわいです。

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2025年6月

b-Cafe店主カワムラです。

 相変わらずNHKの連続テレビ小説「あんぱん」を見ています。「アンパンマン」を生み出したやなせたかし氏とその妻、愓(のぶ)をモデルとしたドラマです。

 主人公たちが青年期を迎える頃、戦争が激化して、ついに太平洋戦争が始まります。

 世界が見えている者たちには、大国アメリカを敵に回して勝てるはずがないことが最初からわかっているのですが、多くの人々は「国家総動員」の波に飲み込まれてゆきます。

 太平洋戦争で戦った男たちの大半は、大正生まれで、大正生まれの男性の実に7人に1人くらいが、戦場で命を落としたそうです。

 戦況の悪化につれて、戦場に駆り出される者の年齢が若年に広がり、学校を出て働き始めたばかりの嵩(たかし)の元にも召集令状が届きます。

 ウチの長男はいま大学の3年生。この時代だったら、早晩戦場に送られていたのかもしれないと思うと、なんとも言えない気持ちになります。

 出征が決まると、町内を挙げて壮行会がおこなわれます。皆で万歳をして、「お国のために勇ましく戦って散ってこい」と言いはやすのです。

 嵩の壮行会の際、そんな「お国のために」コールをかき分けて、嵩の母親が姿を見せます。夫に先立たれ、子供たちを捨てて再婚し、遠い街で暮らしていた奔放な母親です。

 そんな母親が、嵩に近づくなり、「愛国」の人々の目をはばかることなく「死んじゃだめ、必ず帰ってきなさい」と叫ぶように告げます。

 憲兵に引っ張られそうになりながらも、母親としての想いを包み隠さず嵩に伝えたのでした。

 感動的なシーンではあったのですが、一方、ぼくには、この状況で、同じように息子に「生きて帰ってこい」と言える勇気があるだろうか、と考え込んでしまいました。

 広島長崎に原子爆弾が投下され、太平洋戦争が終わったのは、ぼくが生まれるほんの20数年前のことです。

 それでもぼくは戦争を知らない世代です。

 おおよそ80年間、国内では戦争はなく、ぼくらは平和を享受しています。

 けれど、世界を見渡せば、今なお方々国と国が戦いを続けています。人々が、国の手先となって、殺し合いをしています。  

 ロシアのウクライナに対する侵攻がいつまで続くのかと思っていたら、さらに方々で新たに戦の炎が上る。

 一体どうなっているんだ、なんでここまでアホなんだ人類は、と呆れてしまいます。けれど、ぼくらもそんなアホな人類の一員です。

 平和な日本では、ほとんどの方が殺し合いなんかしたくない、戦争には反対です、と言うでしょう。

 けれど、いざ実際にわが国が戦争を始め、敵国を倒すか倒されるか、という状況になったとき、平和を訴え続けることができるのでしょうか。

 圧倒的なマイノリティになってもなお、それでも私は殺し合いには加担しない、と言い続けることができるでしょうか。

 戦争を望まない、というのであれば、先人たちの、多大過ぎる犠牲の末に残された教訓を受け取り、目を背けたくなるような負の歴史に、敢えて向き合うことが必要だと思います。

 争いは、次の争いを生み出すことこそあれ、人類の幸福につながることはありません。

 そして戦争で殺されるものの多くは、戦いを望まない、心優しく弱い人たちです。

 それに何がどうであろうと、我が子を地獄のような殺し合いの場に送り込むことが正しいわけがない。我が子を殺されたくないし、殺させたくもない。

 平和を享受するだけではなく、それを守り抜く知恵と力を身につけたいと思います。

 それから、いちばん小さな「世界」である「家庭」で、諍いではなく対話による理解や協力で課題を乗り越えてゆく練習を重ねるのも大切だと思います。

 なんとか、ぼくらの子どもたち、その子どもたちが、この世界で生きてゆけるように。